おはようございます
けんすいまにあです

先日読み終えた本
【満たされない自己愛】
外の世界がコロナウイルスで混沌としている中
日本の年間自殺者数、変死を含めると10万を超す。これは先進諸国の10倍と言われているのです。
さて外からも内からも人間を襲う”狂った”世の中ですが、
今回は現代人の内なる世界に巣食うう病である”自己愛”について
本書で語られている内容をお話します。
本書をぜひ読んでほしい人とは?
この本の内容は
自己愛からくる病的な心理状態の
メカニズム解説(7割)
痛々しい事件の引用から心理状態を読み解く(2割)
解決策を示す。(1割)
もし具体的にすぐにでも治したい!と思うなら
正直この本はお勧めしません…
この本が有効な人は
- 周りにそのような人がいて困っている
- そういう人との付き合い方を知りたい人
もしくは
- 自分にそのような兆しがある。
- 自分のことだけじゃなく周りのことを考えて病気について深く理解したい
このような人におすすめです。
この本はかなり詳しく【自己愛】について解説されているので
単純に読み物としての面白さではなく知識としての面白さのような感じです
そういえばあの人も?
自己愛といえば記憶に新しいのが
Newsの手越くんの謝罪会見ですが
彼も典型的な自己愛者だと言うことがわかります。
なぜなら社会の枠組みの中の1人という認識は彼にはないように思えます。
自分中心な考え方が強く誇大的な自尊心欲求が周りに支えられているので
一見陽気で楽しげな人に見えますが、
自粛期間中でも女性と会うのをやめられなかったところや言い訳を正当化するところを見ると、人から満たされて保っている誇大な自尊心に支えられて生きているように感じます。
自己愛者のある種成功パターンなのかもしれません。
しかし同時に僕には
自分の中でいつまで経っても満たされない、
永遠の孤独に苦しんでいる様に思います。
一見すると自己愛者じゃなさそうな人も?
自己愛者にもさまざまな人がいて
彼の様な陽気で表舞台に立つ自己愛者もいれば
卑屈に自分を責めて引きこもる自己愛者もいます
たぶん後者のほうが圧倒的に多くて、その果には犯罪に走ったり自殺するといった極端な末路を遂げているみたいで。
2019年に世界を虜にした「ジョーカー」のように心優しい人が狂気の悪者に変わっていく姿は、現実の日本でも起こりうる物語なのです。
自己愛者の内側とは?
さて自己愛者の病的な心理状態はどこから来るのか?
本書での内容として大半を占める
自己愛者の心の内側で起こるコトを”言語化”
それを一言でいうと
”自尊心を満たしたい”
自己愛者の本質的な欲求はすべてこの自尊心から起こる行動です。
さて人間誰しもが多かれ少なかれ自己愛を持ちます。
そのなかでも”自己愛者”はなぜ過剰な自己愛を持つのか?
それは
幼少期に育まれるはずの”ありのままの自尊心”を持つことが困難だった
自尊心の周りにある5つの心理的欲求
- 自己関心、
- 自己中心性、
- 自己顕示、
- 自益的認知、
- 自意識
この欲求は健全な人にも多かれ少なかれ備わっている欲求ですが、
あなたも自分では気づかないうちに自己愛者の特性を他人に振り回して迷惑をかけているかもしれません…
人に迷惑を掛ける一見非常識的な欲求の心理状態は
自己愛者特性から生まれます。
それは病的に欲する自尊心欲求から自己愛者特性が生まれ
7つの自己愛者特性
- 自己顕示的、
- 誇大的、
- 自己中心的、
- 特権意識、
- 優越感、
- 共感欠如、
- 搾取的、
- etc
に分けられます。
5つ以上が当てはまったらあなたも立派な自己愛性パーソナリティー障害です。
ちなみに僕は控えめに自己評価をして5つ当てはまっていたので
自己愛性障害の可能性は十分にあります。
まぁだから本書を手にとったのですが、
自己愛性障害をもつものにとっては
社会で生きていく上で最低限必要な人間関係の構築に
かなり不利を被っていると思います。
本書では他の視点からも語られている
他にも本書では
2つの自尊心(理想的な自尊心、野心的自尊心)
場面による自尊心(個人、集団)
など自分が自分を評価する際に見る視点や立ち振舞がどのように
心理状態から生まれているのかをわかりやすく説明しています。
また本書で興味深かったのは
日本で起こった”自己愛者”による凶悪な犯罪を数件取り上げ
その犯人の養育環境から人格までを詳しく調べ上げています
犯罪心理学から紐解く自己愛性障害
大阪池田小学校襲撃事件、
池袋無差別殺傷事件、
神戸市連続児童殺傷事件【通称:酒鬼薔薇聖斗事件】
など
僕自身神戸出身のため
最後の酒鬼薔薇聖斗事件については数駅先で起こった事件だったので
当時とても怖かった思い出があります。
一歩間違えれば奈落の底のような感覚は
自己愛者特有です。
周りとのつながりがなくなって自分の未来に絶望した自己愛者は
その欲求の矛先を自分に向けるか社会【他者】に向けるかの違いだけで
「大阪池田小学校襲撃事件」の犯人は、””自分が味わった絶望をできるだけ多くの家族に味あわせてやろうと思った”と供述していて、
人から過剰なまでの特別扱いを期待する”自己愛性障害者”が
その期待社会から裏切られた腹いせに
周りの「特別扱い」を受けるエリート小学校の子どもたちに復讐の矛先が向かったのではないか?と本書では推測している。
このように各事件の動機の裏側に「共通した自己愛性特性」が隠れていて
人間が家庭環境や社会的環境で壊れていく過程を見ていると
自分なんかは幸せなんだなと、甘えていちゃだめだなと感じるとともに
人の振り見て我が振り直せ というこのような最後にならないためにも
日頃から気をつけていかなければならないなと感じました。
自己愛者の自己理解と解決策
さて本書の最後の魅力として
自己愛者はどのようにして自分の中の満たされない欲求を処理していくのか?
本書では解決策として3つ挙げられているのでそれを紹介して
今回の「満たされない自己愛」の紹介を終えようと思います。
<解決策>
- 自尊心欲求を肥大させずに、万雷の拍手より一人の眼差し
- 他者への依存度を下げる【過度に人に依存しない】
- 社会的関心をあげる
自尊心欲求は決して満たされない
人はだれからも愛されたいや、みんなから尊敬されたいといった自尊心欲求が誰しもある。
しかしながらそれは不可能です。
しかしどれだけ社会的に成功しようと、金銭的な余裕があろうと100人のうちの99人に好かれようとたった一人の批判に心をえぐられるのです。
ある高名な画家は、自身が書いた絵画が社会的に評価され天才の名をほしいままにしますが、妻からの冷ややかな目線によりひどく傷つきます。
この話には社会的認知の特徴があります。
「人の心は不可知である」という理念に基づいていると
それはやがて
「本心でどう思っているかわからない」と疑いになります
そうすると最後です。
人から尊敬されたい、愛されたいという自尊心欲求を求める者が
決して満たされることがないのはこの理由です。
この話はとてもしっくり来ました。
利己的か利他的か
最後に社会的関心に目を向ける
とありますが、社会的関心とは表面で
真理として裏側にあるのが
利己的か利他的かの社会的行動信条があります。
現代社会は、特に資本主義社会は
「個人主義や利己主義を推奨している」とアメリカの社会学者ラッシュは言う
しかしながら
人間の心にはかならず「利他的な思考や主義がある」と本書は説いている
照れくさいかもしれないけど「人のために」とか「世の中の役に立ちたい」とか
たしかに頭では理解できない”損得勘定を超えた”思考があるのは
感じられます。
以下に社会に関心を寄せるのかというところは
利己的じゃなく利他的な思考にフォーカスするということが大事なのかと
感じました。
もしもっと具体的な”自己愛”に振り回されないような人生を歩むための治療法を知りたい方は・・・
また別の治療法に特化した本を読んでいるので
レビューします。
ではここまでお付き合いいただきありがとうございます。
また次回の記事でお会いしましょう
んじゃ
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